2025年に予定される最低賃金の引き上げを控え、人件費増加への対策として「業務改善助成金」の活用を検討する企業が増えています。
業務改善助成金は、一定額の賃上げと生産性向上につながる投資を行った企業に対して、その費用の一部を国が助成する制度です。
本記事では業務改善助成金の制度内容や対象範囲をわかりやすく解説するとともに、助成金の活用に強みを持つコンサルティング会社6社をご紹介します。
さらに、コンサルティング費用の相場や業者選定のポイント、申請手順やよくある質問まで詳しく解説します。助成金制度を正しく理解し、自社に合ったコンサル活用の検討にぜひお役立てください。
業務改善助成金に強いコンサルティング会社おすすめ6選
会社名/事務所名 | 画像 | 公式HP | 詳細 | 所在地 | 設立年 | 申請実績 | 受給率 | 得意業種 | 着手金 | 成功報酬 | 初回相談 |
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社会保険労務士法人大和総合労務事務所 | ![]() | 公式 | 詳細 | 愛知県一宮市 | 1969年 | 助成金申請: 1,500件以上(累計) | 受給率 99.8% | 製造業/サービス業/建設業 | 顧問料別途要相談 | 30% | 無料 |
リタクラウド社会保険労務士法人 | ![]() | 公式 | 詳細 | 東京都渋谷区 | 2021年 | 助成金支援: 2,500件以上(累計) | 受給率 97.9% | 介護・福祉/整体・接骨院/理美容/飲食店 | 0円 | 10% | 無料 |
Gifted社労士事務所 | ![]() | 公式 | 詳細 | 東京都中央区 | – | 年間100件以上の助成金申請 | 公開なし | 人材育成・研修系/幅広い業種 | 15万円 | 0% | 無料 |
アクセル経営社会保険労務士法人 | ![]() | 公式 | 詳細 | 東京都品川区 | 2011年 | 公開なし | 公開なし | 製造業/サービス業/小売・飲食業/建設業 | 0円 | 15%~20% | 無料 |
株式会社Days Consulting | ![]() | 公式 | 詳細 | 宮城県仙台市 | 2023年 | 経営支援: 200件超 補助金・融資支援: 多数 | 受給率:公開なし 補助金採択率: 96% | 中小企業全般/サービス業 | 55,000円~ | 0%~11% | 無料 |
株式会社M41 公認会計士事務所 | ![]() | 公式 | 詳細 | 東京都港区 | 2014年 | 補助金獲得: 300件以上(累計) | 公開なし | 幅広い業種/製造業/技術系企業 | 0円 | 20%~30% | 無料 |
制度理解の深い専門資格保有者かを確認することが重要
実績や受給率(採択率)を明示しているかが信頼性の分かれ目
電子申請の対応力は業務負担軽減に大きく関係する
トラブルを防ぐため費用ルールの明確さを確認すべき
業務改善助成金とは
業務改善助成金とは、中小企業や小規模事業者が事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)を一定額以上引き上げ、生産性向上につながる設備投資等を行った場合に、その費用の一部について国から助成金を受けられる制度です。
設備投資等には機械設備の導入や経営コンサルティングの活用、人材育成の研修などが含まれます。助成金額は最大で600万円と高額であり、人件費負担の増加を補填しながら生産性向上のための投資を進めることができます。
業務改善助成金の対象者
業務改善助成金の対象となるのは、中小企業・小規模事業者に該当する事業者です。具体的には、資本金や従業員数が一定以下の中小企業や個人事業主も含まれます。
大企業の子会社など「みなし大企業」に該当する場合は対象外となります。
主な要件として、事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差額が50円以内であること、申請前6か月以内に従業員の解雇や賃金引下げを行っていないこと、賃金引上げと設備投資の計画を策定することが必要です。
実際に事業場内最低賃金を30円以上引き上げることが助成金受給の必須条件で、賃上げ幅に応じて「30円コース」「45円コース」「60円コース」「90円コース」の4コースがあります。
業務改善助成金の対象経費
業務改善助成金で助成対象となる経費は、生産性向上・労働能率の増進に資する設備投資等の費用です。
汎用性が高く、業種を問わずさまざまな使途に充てることができます。
経費区分 | 対象内容 |
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機械装置費 | 生産ライン機械化、省力化機器、ロボット・AI活用設備、POSレジ、自動釣銭機等 |
ITシステム費 | 業務管理ソフト、在庫管理システム、経理システム、勤怠管理システム等 |
コンサルティング費 | 業務フロー見直し、生産性向上指導等の専門コンサルタント費用 |
人材育成・研修費 | 従業員スキルアップ研修、資格取得支援、社内セミナー開催費用等 |
施設・設備改善費 | 店舗改装、作業場レイアウト変更、照明・空調改善等の職場環境改善費用 |
なお、自動車やパソコン等は通常対象外ですが、「特例事業者」に該当する場合にはこれらも助成対象に含めることができます。
経営コンサル費用も業務改善助成金の対象となる
業務改善助成金では経営コンサルティングを受ける費用も助成対象に含まれていま。
これは、生産性向上のために外部の専門家の知見を活用する取り組みが、設備投資と同様に重要であると認識されているためです。
具体的にどのようなコンサルティングが助成対象となるのか、また助成金の対象外となるコンサル費用について解説します。
生産性向上コンサルティング
業務プロセスの改善や業務フローの効率化を目的として改善提案を受けるサービス
人材育成・研修プログラム
人材育成や研修プログラムにかかる費用
助成金の対象外となるコンサル費用について
「生産性向上に資する取組」にかかる費用以外は対象外となる
生産性向上コンサルティング
生産性向上コンサルティングとは、業務プロセスの改善や業務フローの効率化を目的として専門家から指導・提案を受けるサービスです。
中小企業診断士やコンサル会社の専門家が社内に入り、現場のヒアリングやデータ分析を行った上で、生産性を妨げている要因を洗い出し改善策を提案してくれます。
業務改善助成金の枠組みでは、このような外部コンサルタントの指導料も設備投資とみなされ、コンサルティング費用の一部について助成率に応じた助成金を受け取ることができます。
現場改善のコンサルティングや業務プロセス改革の指導を導入する際は、ぜひ助成金の活用を検討しましょう。
人材育成・研修プログラム
人材育成や研修プログラムへの投資も、業務改善助成金の対象経費に含まれています。設備やシステムを導入しても、それを使いこなす従業員のスキルが伴わなければ十分な効果は得られません。
具体的には、社内研修の実施費用や外部セミナーへの参加費、講師を招いて行うトレーニングの費用、OJTを体系化するための研修プログラム導入費用などが該当します。
これらの費用に助成金が出ることで、企業は人への投資も積極的に行いやすくなります。コンサルタントによる指導と組み合わせて従業員のスキルアップを図れば、設備投資の効果を最大限に高めることができるでしょう。
助成金の対象外となるコンサル費用について
すべてのコンサルティング費用が無条件に助成対象となるわけではない点にも注意が必要です。業務改善助成金はあくまで「生産性向上に資する取組」に対して支給されるものなので、それに直接寄与しないコンサル費用は対象外となります。
例えば、助成金申請代行のコンサル費用、生産性向上に結び付かない経営戦略やマーケティング戦略のコンサルティング、給与計算代行や経理代行など恒常的なアウトソーシング費用は対象外です。
助成金の活用を検討する際は、そのコストが賃金引上げと結びついた生産性向上策と言えるかを意識しましょう。
業務改善助成金に強いコンサルティング会社6選!
賃金引上げと生産性向上を両立させる業務改善助成金。その申請を成功に導くプロの助けは心強いものです。
複雑な手続きを丸ごと任せられる信頼度の高いコンサル6社を厳選し、特徴や選び方のポイントを解説します。
社会保険労務士法人大和総合労務事務所
50年の実績と助成金専門チームを持つ老舗社労士法人
リタクラウド社会保険労務士法人
着手金0円・成功報酬10%で全国対応する大手社労士法人
Gifted社労士事務所
中小企業診断士連携で求人広告から労務まで総合サポート
アクセル経営社会保険労務士法人
中小企業診断士連携で求人広告から労務まで総合サポート
株式会社Days Consulting
認定支援機関として96%の高採択率や受給率を誇る中小企業診断士事務所
株式会社M41 公認会計士事務所
公認会計士・税理士の知見を活かした高度専門支援を提供
社会保険労務士法人大和総合労務事務所

引用 : 社会保険労務士法人大和総合労務事務所
- 働き方改革法案対策に特化したサポート体制
- 人事評価制度構築と助成金申請の連携支援
- クラウド型勤怠管理システム導入コンサル
会社名/事務所名 | 社会保険労務士法人大和総合労務事務所 |
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所在地 | 〒491-0858 愛知県一宮市栄4丁目6番8号 一宮商工会議所5階 |
設立年 | 1969年 |
申請実績 | 助成金申請: 1,500件以上(累計) |
受給率 | 受給率 99.8% |
得意業種 | 製造業/サービス業/建設業 |
着手金 | 顧問料別途要相談 |
成功報酬 | 30% |
初回相談 | 無料 |
公式サイト | 公式サイトを見る |
社会保険労務士法人大和総合労務事務所は、愛知県一宮市に拠点を置く老舗の社労士法人です。創業から50年以上の歴史があり、製造業やサービス業など幅広い業種の企業で数多くの成功事例を積み上げてきました。
大和総合労務事務所の特徴は、助成金申請専門のチームを社内に有している点です。最新の制度改正動向を踏まえた的確なアドバイスと、書類作成から申請代行まで一貫したサポートを提供しています。
また、人材育成や職場環境の改善に関する助成金にも注力しており、業務改善助成金と合わせて活用できる他の助成金についても提案を受けることができます。豊富なノウハウを背景に、親身で丁寧な対応をしてくれる頼れる存在と言えるでしょう。
リタクラウド社会保険労務士法人

引用 :リタクラウド社会保険労務士法人
- 東京・大阪拠点で全国対応可能な大手法人
- 社労士・行政書士・経営コンサルタント連携
- マネーフォワードクラウド包括導入支援
会社名/事務所名 | リタクラウド社会保険労務士法人 |
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所在地 | 〒150-0044 東京都渋谷区円山町5−5 Navi渋谷Ⅴ 3階 |
設立年 | 2021年 |
申請実績 | 助成金支援: 2,500件以上(累計) |
受給率 | 受給率 97.9% |
得意業種 | 介護・福祉/整体・接骨院/理美容/飲食店 |
着手金 | 0円 |
成功報酬 | 10% |
初回相談 | 無料 |
公式サイト | 公式サイトを見る |
参考 : リタクラウド社会保険労務士法人公式サイト
リタクラウド社会保険労務士法人は、東京(渋谷)と大阪に拠点を持ち、全国対応可能な大手社労士法人です。社労士・行政書士・経営コンサルタントが在籍する士業グループであり、企業の課題をワンストップで解決する体制を整えています。
全国に約2,200社ある社労士法人の中で特におすすめ企業に選出された実績もあり、信頼と実績の両面で高い評価を得ています。リタクラウドの大きな特徴は、明確で良心的な料金体系です。
助成金無料診断やオンライン相談にも対応しており、気軽に問い合わせできる体制です。豊富な支援実績から培ったノウハウと、「利他の心」で顧客企業に尽くす姿勢を持つリタクラウド社労士法人は、業務改善助成金の心強いパートナー候補です。
Gifted社労士事務所

引用 : Gifted社労士事務所
- 人材育成・従業員教育系助成金の専門特化
- リクルート出身者による採用・研修支援
- eラーニングシステム開発・販売も提供
会社名/事務所名 | Gifted社労士事務所 |
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所在地 | 〒103-0025 東京都中央区日本橋茅場町1-9-2 |
設立年 | – |
申請実績 | 年間100件以上の助成金申請 |
受給率 | 受給率:公開なし |
得意業種 | 人材育成・研修系/幅広い業種 |
着手金 | 15万円 |
成功報酬 | 10% |
初回相談 | 無料 |
公式サイト | 公式サイトを見る |
Gifted社労士事務所(株式会社Gifted)は、中小企業の人材育成や職場環境の改善支援に特化した社労士事務所です。
特に人材育成や研修系の助成金に強みを持っており、業務改善助成金についても、賃上げに伴う研修計画の策定や業務フロー改善のコンサルティングで多くの企業をサポートしています。
Gifted社労士事務所の強みは、対応の迅速さと的確さです。経験豊富な社労士が在籍しており、ヒアリングした企業課題に対して適切な助成金スキームを提案してくれます。
「助成金のプロフェッショナル」として、制度要件の解釈や申請書類の書き方についてわかりやすく説明してもらえるため初めて利用する企業でも安心です。
アクセル経営社会保険労務士法人

引用 : アクセル経営社会保険労務士法人
- 社労士と中小企業診断士の連携サポート
- 求人広告と労務相談のワンストップ対応
- 粗利益向上を念頭とした人事労務助言
会社名/事務所名 | アクセル経営社会保険労務士法人 |
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所在地 | 〒141-0022 東京都品川区東五反田4丁目9-2 東五反田KBビル12F |
設立年 | 2011年 |
申請実績 | 公開なし |
受給率 | 受給率: 公開なし |
得意業種 | 製造業/サービス業/小売・飲食業/建設業 |
着手金 | 0円 |
成功報酬 | 15%~20% |
初回相談 | 無料 |
公式サイト | 公式サイトを見る |
参考 : アクセル経営社会保険労務士法人公式サイト
アクセル経営社会保険労務士法人は、福岡県に本拠を置きつつ全国の企業を支援する社労士法人です。助成金診断サービスや労務顧問、給与計算アウトソーシングなど幅広い人事労務サービスを提供しています。
助成金申請代行については扱うメニューを一部に絞っていますが、業務改善助成金には対応可能です。無料相談を通じて申請可否の判断から書類作成代行まで依頼でき、きめ細かなサポートを受けられます。
労務管理のプロである社労士法人ならではの視点で、申請書の作成から提出まで細部にわたりサポートしてもらえるため、初めて助成金に挑戦する企業でも安心して依頼できます。
普段から顧問契約等で労務面を支援してもらいつつ、必要なときに助成金申請もお願いできる”総合力”が魅力の事務所です。
株式会社Days Consulting

引用 : 株式会社Days Consulting
- 中小企業診断士による経営コンサルティング
- 認定経営革新等支援機関として国認定済み
- 人材戦略から資金調達まで総合支援可能
会社名/事務所名 | 株式会社Days Consulting |
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所在地 | 〒980-0014 宮城県仙台市青葉区本町1丁目5ー28 カーニープレイス仙台駅前通 603号室 |
設立年 | 2023年 |
申請実績 | 経営支援: 200件超 補助金・融資支援: 多数 |
受給率 | 受給率:公開なし 補助金採択率: 96% |
得意業種 | 中小企業全般/サービス業 |
着手金 | 55,000円~ |
成功報酬 | 0%~11% |
初回相談 | 無料 |
公式サイト | 公式サイトを見る |
株式会社Days Consultingは、東北地方(宮城県仙台市)を拠点に活動する中小企業診断士事務所です。代表者は中小企業診断士の資格を持ち、経済産業大臣登録の認定経営革新等支援機関としても認定されています。
創業以来、資金調達支援や補助金・助成金活用支援、人材戦略支援など幅広い経営コンサルティングに従事しています。累計で3億円以上の資金調達を支援してきた実績から、提案される改善計画の質や書類作成の精度は折り紙付きです。
また、人材の採用・育成・定着率向上まで視野に入れたコンサルティングが可能である点も特徴です。賃上げと絡めて従業員の定着やスキルアップに課題を抱えている企業にとって、的確なアドバイスが得られるでしょう。
株式会社M41 公認会計士事務所

引用 : 株式会社M41 公認会計士事務所
- 公認会計士・税理士による高度専門支援
- 認定支援機関として補助金・助成金対応
- ZOOM活用で全国対応の無料相談体制
会社名/事務所名 | 株式会社M41 公認会計士事務所 |
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所在地 | 〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目5−8 SPACES赤坂 |
設立年 | 2014年 |
申請実績 | 補助金獲得: 300件以上(累計) |
受給率 | 公開なし |
得意業種 | 幅広い業種/製造業/技術系企業 |
着手金 | 0円 |
成功報酬 | 20%~30% |
初回相談 | 無料 |
公式サイト | 公式サイトを見る |
株式会社M41 公認会計士事務所は、東京都港区に本社を構える助成金・補助金支援のプロフェッショナル集団です。中小企業庁より経営革新等支援機関(認定支援機関)に指定されており、公認会計士や税理士の知見を活かした高度な申請支援サービスを提供しています。
全国対応が可能で、電話やZoomを通じた無料相談にも対応しているため、遠方の企業でも気軽に問い合わせできます。業務改善助成金についても最新情報を踏まえた専用の申請支援サービスを展開しており、社内に蓄積されたノウハウの深さが伺えます。
公認会計士事務所ならではの数値分析力と計画策定力は大きな強みで、賃上げ計画や生産性向上計画についても財務的根拠に基づいた説得力のある提案書を作成してもらえます。高い専門性と全国規模の対応力を兼ね備えたM41は、業務改善助成金の心強いパートナーとなります。
業務改善助成金に関するコンサル費用相場
助成金コンサルを依頼する際に気になるのが費用相場です。
業務改善助成金に関するコンサルティング費用は、大きく分けて「着手金+成功報酬型」と「完全成功報酬型」の2つの体系があります。それぞれの特徴と相場感について解説します。
着手金+成功報酬型
「着手金+成功報酬型」は、依頼時に一定の着手金(固定費用)を支払い、助成金の受給成功時に報酬(成功報酬)を追加で支払う方式です。
多くの社労士事務所・コンサル会社が採用している一般的な料金体系と言えます。相場として、着手金は10~20万円程度、成功報酬は受給額の10%~20%程度に設定しているケースが多いです。
例えば助成金50万円を受給した場合、着手金10万円+成功報酬10%(=5万円)で合計15万円の費用、といったイメージです。
この方式のメリットは、成功報酬率が比較的低めに抑えられる点です。依頼企業としては受給額に対するコスト割合を低減できるため、助成金額が大きくなるほど費用対効果が良くなります。
完全成功報酬型
「完全成功報酬型」は、着手金ゼロで依頼でき、助成金を受給できた場合にのみ成功報酬を支払う方式です。この方式の最大のメリットは、企業側には成功するまで費用負担が発生しない点です。
仮に助成金の採択に至らなかった場合は、一切支払い不要となるため、安心して依頼できます。また初期費用がかからないため、予算の限られた中小企業でもチャレンジしやすいでしょう。
一方で、デメリットとしては成功報酬率が高めに設定される傾向があることです。完全成功報酬の場合、コンサル会社側は不採択リスクを全て負うため、その分成功時の報酬割合を高く設定するケースが多く見られます。
相場感としては成功報酬20%前後が一般的で、助成額によっては30%近くとなる場合もあります。
コンサル会社の選び方のポイント

業務改善助成金のコンサル会社を選ぶ際には、費用だけでなく実績やサービス内容など様々な観点を考慮することが重要です。信頼できるパートナーを見極めるために、以下のポイントに注目してみましょう。
認定支援機関または特定社労士か
制度理解の深い専門資格保有者かを確認することが重要
申請実績と受給率(採択率)を“数字”で開示しているか
実績や受給率(採択率)を明示しているかが信頼性の分かれ目
賃金データとjGrantsの自動連携ノウハウがあるか
電子申請の対応力は業務負担軽減に大きく関係する
料金体系や返金ポリシーは明確か
トラブルを防ぐため費用ルールの明確さを確認すべき
認定支援機関または特定社労士か
依頼を検討しているコンサル会社や社労士事務所が、公的な資格や認定を持っているか確認しましょう。経営革新等支援機関(認定支援機関)として国に認定されている場合、国お墨付きの中小企業支援専門家ということになります。
認定支援機関として登録されている会社は、財務や経営計画の知見も豊富で助成金申請にも精通しています。また、担当者が特定社会保険労務士の資格を有していれば尚良いでしょう。
特定社労士は労使間紛争の解決手続き代理業務などを行える上級有資格者で、労務管理全般に強く、賃上げ計画の策定に際して就業規則変更や労務トラブル回避のアドバイスなどトータルな支援が期待できます。
申請実績と受給率(採択率)を“数字”で開示しているか
コンサル会社の過去の申請実績(件数)や受給率が公開されているかも重要なポイントです。
「これまで◯◯件の助成金申請支援実績あり」「受給率◯◯%」といった具体的な数字を提示している会社は、自社の実力に自信があると考えられます。
実績数が多いほど様々なケースのノウハウが蓄積されているでしょうし、高い受給率を維持しているなら申請書類のクオリティや制度理解度が高いことが推察できます。
助成金は要件を満たせばほぼ確実に受給できる制度のため、プロに依頼すれば95%以上の高い受給率が期待できます。
逆に「実績多数」「高受給率」と謳いながら具体的な数字が一切ない場合は、その裏付けを尋ねてみるのも手です。大切な助成金申請を任せる以上、エビデンスに基づく信頼は重視すべきです。
賃金データとjGrantsの自動連携ノウハウがあるか
年、助成金申請の手続きはオンラインシステム「jGrants(ジェイグランツ)」で行うのが主流になっています。jGrantsでは事業場内の全従業員の賃金データ入力など、多くの情報登録が必要です。
そこで、賃金データとjGrantsを自動連携させるノウハウや専用ツールを持っているコンサル会社だと、申請手続きを格段に効率化できます。
給与計算ソフトから出力したデータをjGrants用に整形して一括アップロードするスクリプトを持っていたり、助成金申請支援クラウドを導入していたりする事務所があります。
自社の賃金台帳データを安全に扱えるか、オンライン申請に精通しているかといった点も選定時にヒアリングしてみることをおすすめします。
料金体系や返金ポリシーは明確か
料金体系が明確で、万一受給できなかった場合の対応もはっきり示されているかを確認しましょう。「着手金○円・成功報酬○%」や「完全成功報酬△%」など具体的な数字を提示している会社は、費用面での信頼性が高いです。
また、返金ポリシーも重要です。通常、成功報酬型では不採択なら費用不要ですが、着手金がある場合は返金されないのが一般的です。中には「採択されなかった場合、着手金を全額または一部返金」といった顧客に優しいポリシーを掲げている会社もあります。
契約前に、「もし不採択だったら費用はどうなりますか?」といった点を確認し、納得できる対応を約束してくれる業者を選びましょう。
業務改善助成金の申請方法とスケジュール
業務改善助成金を申請する際、専門のコンサルティング会社に依頼すると、全体の流れは以下の6つのステップに整理できます。
各ステップごとに、企業が行う準備、コンサルが担う役割、スケジュールの目安を解説します。丁寧なサポートを受けることで、複雑な申請手続きを円滑に進めることができます。
企業は賃金台帳や就業規則などの資料を提出し、コンサルタントのヒアリングに応じます。コンサルタントは提供された資料をもとに、助成金の対象要件への適合性を確認し、業務改善助成金の制度を適用できるか判断します。
企業は業務改善のアイデアや設備投資の候補を検討し、賃金引上げの対象従業員や引上げ幅について情報提供します。
コンサルタントは提供された情報をもとに、具体的な業務改善計画書および賃金引上げ計画を策定します。助成金の要件を満たすよう計画をブラッシュアップし、助成対象経費や賃上げ額の設定についてアドバイスします。
企業はコンサルタントの指示に従い、交付申請書への押印、賃金台帳や就業規則の提出など申請に必要な書類を揃えます。
コンサルタントは交付申請書および事業実施計画書等の申請書類一式を代行作成し、助成金の支給要件を満たすよう内容を精査します。
必要な添付書類が全て揃っているかチェックし、都道府県労働局へ申請書類を提出します。
企業は申請書類提出後、交付決定通知が届くまで待機し、審査期間中に労働局から照会があれば速やかに対応します。コンサルタントは審査進捗の管理や労働局とのやり取りを代行し、必要に応じて追加資料の提出に対応します。
交付決定通知を受領したら内容を企業に報告し、今後のスケジュールを再確認します。
企業は交付決定された計画に沿って、機械設備の購入・設置、ITシステムの導入、研修の実施などを行い、計画どおりに事業場内最低賃金の引き上げを実施します。
コンサルタントは助成事業が滞りなく進行するようプロジェクトマネジメント支援を行い、計画変更が生じた場合は変更申請書等の書類作成を支援します。
原則翌年1月末までに事業を完了させ、実施期間中は綿密にスケジュール管理を行います。
企業は取組み完了後、設備購入費や研修費の領収書、引き上げ後の賃金台帳など実績報告に必要な証拠書類を取りまとめます。
コンサルタントは事業実績報告書および助成金支給申請書を代行作成し、労働局へ提出します。
労働局による審査後、支給決定通知が発行されたら支払請求書を提出し、助成金振込手続きを進めます。実績報告書の提出期限は事業完了日から1ヶ月以内で、数週間以内に助成金が振り込まれます。
業務改善助成金のコンサル活用に関するよくある質問
業務改善助成金についてわかりやすく説明してください
業務改善助成金は賃上げと業務改善の取組を支援する助成金制度
コンサルタント側に資格要件はありますか?
申請代行には社労士資格が必要な場合があります
コンサルにはいつまでに業務改善助成金の相談をすればよいですか?
申請締切の2〜3ヶ月前には相談を始めましょう
パソコンの購入費用は業務改善助成金の対象になりますか?
条件を満たせばパソコン購入も対象になる場合もあります
車両購入費用(中古車やレンタル等も)は業務改善助成金の対象になりますか?
特例事業者なら車両費も対象になることがあります
業務改善助成金についてわかりやすく説明してください
業務改善助成金は、「従業員の賃金を一定額アップさせること」と「仕事のやり方や設備を良くして生産性を上げること」の両方に取り組む企業に対して、国が費用の一部を助けてくれる制度です。
社内の最低賃金を30円以上引き上げて、新しい機械を導入したり社員研修を行ったりすると、その機械代や研修費の一部を国が補助金として支給してくれます。
最大で600万円まで受け取ることができ、中小企業・小規模事業者なら個人事業主でも利用可能です。要するに、「社員にお給料を少し多く払って、その代わり会社も仕事の効率アップにお金を使ったら、そのお金を国がサポートしますよ」という仕組みです。
コンサルタント側に資格要件はありますか?
助成金の申請書類作成や代理提出を業務として行う場合、社会保険労務士(社労士)の資格が必要とされています。社労士法で労働社会保険に関する書類作成は社労士の独占業務と定められているためです。
ただし、コンサルティング自体に必須の資格があるわけではありません。経営コンサルタントや中小企業診断士など社労士以外の専門家がアドバイスを行い、実際の申請書類のチェックや提出だけ社労士と連携して進めるケースもあります。
必ず社労士でなければならないということではありませんが、社労士資格を有する方に依頼するのが一般的で安心です。資格保有者の方が労務や助成金制度の知識も豊富で、代理提出まで任せられるメリットがあります。
コンサルにはいつまでに業務改善助成金の相談をすればよいですか?
できるだけ早めに相談を開始することをおすすめします。
業務改善助成金は毎年、公募締切が年明けの1月末頃に設定されます。さらに、申請書類の準備には賃上げ計画や設備投資計画の策定、見積書の取り寄せ、社内決裁など時間がかかる作業が必要です。
目安として、申請期限の2~3ヶ月前、可能なら前年度の秋頃(9~10月頃)までにコンサルタントへの相談を開始すると良いでしょう。申請期限間近になると依頼が集中して新規対応が難しくなることもありますので、余裕を持って準備に取り組みましょう。
パソコンの購入費用は業務改善助成金の対象になりますか?
条件によっては可能です。業務改善助成金では、原則としてPCやタブレット等の汎用的な事務機器は対象経費に含まれません。
しかし、企業が「特例事業者」に該当する場合にはパソコンやスマートフォン、タブレットなどの端末購入費も助成対象として認められます。
特例事業者に該当するには、生産量要件や物価高騰等要件など追加の条件を満たす必要があります。これらの条件を満たすことで物価高騰等要件の特例事業者となり、その場合にパソコン類の購入費用が助成対象に拡大されます。
要件を満たさない通常の事業者ではPCは対象外となりますので注意してください。
車両購入費用(中古車やレンタル等も)は業務改善助成金の対象になりますか?
こちらも条件付きで対象となり得ます。基本的に乗用車などの車両費は助成対象経費に含まれていませんが、物価高騰等要件を満たす特例事業者であれば認められます。
特例事業者の場合、「定員7人以上または本体価格200万円以下の乗用自動車」および「貨物自動車」の購入費用が助成対象に追加されます。中古車であっても本体価格が200万円以下であれば対象になり得ます。
ただし、車両のレンタル費用(リース料)は設備投資ではなく経常経費とみなされるため、助成の対象外です。車両導入によってどう業務が改善するかも合わせて説明できるケースが望ましいです。
まとめ
最低賃金の引き上げが続く中、業務改善助成金は中小企業にとって貴重な支援制度です。賃上げによる人件費負担を和らげつつ、生産性向上のための投資を後押ししてもらえるため、上手に活用すれば企業の競争力強化にもつながります。
業務改善助成金は「賃上げ+生産性向上投資」で最大600万円の助成が受けられる制度で、POSレジや機械設備、コンサル費用、研修費用など幅広い経費が対象になります。
要件を満たして計画を立て申請すれば原則助成を受けられ、複雑な手続きもありますが、条件さえ揃えば高い確率で交付されます。
コンサル会社に依頼する場合は、成功報酬型の費用体系が一般的で、実績豊富で信頼できる認定支援機関や社労士に相談することで、書類準備や申請作業も安心して進めることができるでしょう。