働き方改革の推進が叫ばれる現代において、多くの中小企業が労働時間の短縮や、年次有給休暇の取得促進といった課題に直面しています。
しかし、何から手をつければ良いかわからない、申請手続きが複雑そうで不安、といった悩みを抱える経営者や担当者の方も少なくありません。
そのような企業の強力な味方となるのが、厚生労働省が管轄する「働き方改革推進支援助成金」です。
本記事では、2025年の最新情報に基づき、働き方改革推進支援助成金の各コースの概要、申請できる事業主の条件などを徹底解説します。
【2025年最新】働き方改革推進支援助成金とは?

働き方改革推進支援助金とは、労働環境の改善に取り組む中小企業事業主を支援するために設けられた、返済不要の公的な資金援助制度です。
具体的には、従業員がより健康で多様な働き方を選択できる、環境整備にかかった費用の一部が助成されます。
- 時間外労働の削減
- 年次有給休暇や特別休暇の取得促進
- 「勤務間インターバル」の導入
助成金を活用することで、企業は設備投資や専門家へのコンサルティング、就業規則の改定といった取り組みの金銭的負担を大幅に軽減できます。
法令遵守はもちろん、人材確保や定着率向上といった経営課題の解決にも繋げられます。
働き方改革推進支援助成金を申請できる中小企業の特徴
助成金はすべての企業が対象となるわけではなく、一定の条件を満たす「中小企業事業主」に限定されています。
ここでは申請資格のある中小企業の特徴を2つ紹介します。
1|資本金・従業員数などの中小企業の定義
助成金対象となる企業の資本金や従業員数に関する具体的な基準の解説
2|助成金を申請する前に必ず確認すべき5つの条件
労働保険加入や36協定など申請前にクリアすべき必須要件の確認
資本金・従業員数などの中小企業の定義
働き方改革推進支援助成金における「中小企業」とは、「資本金の額または出資の総額」か「常時使用する労働者の数」のどちらかを満たす企業を指します。
業種 | 資本金の額または出資の総額 | 常時使用する労働者の数 |
---|---|---|
小売業(飲食店を含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
自社の業種がどれに該当し、資本金や従業員数が基準内であるかを最初に確認することが、申請への第一歩となります。
特にサービス業や医療・介護分野など、業種によって労働者数の上限が異なる点に注意が必要です。
誤って認識していると申請自体が無効となるため、正確に把握しておきましょう。
助成金を申請する前に必ず確認すべき5つの条件
中小企業の定義を満たしていても、さらに5つの労働条件を整備していなければ、助成金の申請は認められません。
- 労働保険(労災保険・雇用保険)に適正に加入していること
- 年5日の年次有給休暇取得義務に対応した就業規則が整備されていること
- 36協定(時間外・休日労働に関する協定届)を締結・届出していること
- 就業規則に労働時間や休暇制度に関する規定が明記されていること
- 過去に労働関係法令違反や助成金の不正受給がないこと
これらの条件は、企業として労働法規を遵守し、健全な労務管理を行っていることの証明であり、助成金申請の土台となる部分です。
交付申請を行う前に、自社の状況が以下の5つの項目すべてをクリアしているかチェックしてください。
労働保険(労災保険・雇用保険)に適正に加入していること
大前提として、助成金の財源の一部は労働保険料であるため、労働者災害補償保険および雇用保険の適用事業所であることが必須です。
法人であれば原則として強制適用、個人事業主であっても常時1人以上の労働者を雇用していれば、農林水産業の一部を除き加入義務があります。
保険関係成立届を管轄の労働基準監督署、またはハローワークに提出し、労働保険料を滞納なく納付していることが求められます。
年5日の年次有給休暇取得義務に対応した就業規則が整備されていること
2019年4月からすべての企業において、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者に対し、年5日については企業が時季を指定して取得させることが義務化されました。
法令に対応するため、就業規則に「年次有給休暇の時季指定」に関する規定が明記されている必要があります。
また、労働者ごとに年次有給休暇の取得日、日数、基準日を記録した「年次有給休暇管理簿」を作成し、3年間保存する義務も果たしていることが条件となります。
36協定(時間外・休日労働に関する協定届)を締結・届出していること
労働者に法定労働時間、あるいは休日に労働させる場合、労働基準法第36条に基づく労使協定(通称:36協定)の締結と、所轄の労働基準監督署長への届出が不可欠です。
交付申請時点で有効な36協定が適切に届け出られており、その協定の範囲内で労働時間管理が行われていることが厳しく審査されます。
特に、上限規制に対応した内容になっているかを確認する必要があります。
就業規則に労働時間や休暇制度に関する規定が明記されていること
始業・終業時刻、休憩時間、休日、休暇といった労働時間に関する基本的な事項が、就業規則に具体的に定められていることが必要です。
助成金を活用して休暇制度などを導入する場合でも、現行の労働条件が就業規則によって明確化され、労働者に周知されていることが前提となります。
常時10人以上の労働者を使用する事業場では、就業規則の作成と労働基準監督署への届出が義務付けられています。
過去に労働関係法令違反や助成金の不正受給がないこと
申請日前の一定期間において、労働基準法や最低賃金法などの労働関係法令に関する重大な違反がないことが求められます。
また、過去に他の助成金を含め、不正受給を行った事業主や関係者は、申請資格が一定期間停止されます。
クリーンな労務管理とコンプライアンス遵守の姿勢が、助成金活用のための信頼の証となると考えておきましょう。
働き方改革推進支援助成金のコースの種類と概要
働き方改革推進支援助成金は、企業の抱える課題や目指す目標に応じて、複数の専門的なコースが用意されています。
各コースはそれぞれ支援の対象となる取り組みや成果目標、助成上限額が異なるため、自社の状況に最も適したコースを選択しましょう。
1|労働時間の改善全般を支援する「労働時間短縮・年休促進支援コース」
残業削減や有給取得促進など、幅広い労働時間改善への取り組み支援
2|勤務終了から始業までの休息を確保する「勤務間インターバル導入コース」
従業員の休息時間を確保する勤務間インターバル制度導入への特化支援
3|建設・運送・医療など業種別の課題に対応した「業種別課題対応コース(旧:適用猶予業種等対応コース)」
建設業や医療など特定業種の労働時間課題に対応する高額な助成制度
4|業界団体や協会が主導して活用できる「団体推進コース」
事業主団体が傘下企業をまとめて改善する大規模事業への支援制度
労働時間の改善全般を支援する「労働時間短縮・年休促進支援コース」
「労働時間短縮・年休促進支援コース」は、時間外労働の削減や年次有給休暇・特別休暇の取得促進といった、働き方改革の根幹をなす取り組みを支援するコースです。
- 生産性を向上させるための設備投資
- 労務管理用ソフトウェアの導入
- 外部専門家によるコンサルティング
結果として、労働時間の短縮や休暇取得の促進を実現した場合に費用の一部が助成されます。
「まずは残業を減らしたい」「有給を取りやすい文化を醸成したい」といった、多くの企業が抱える共通の課題に対応しやすいのが特徴です。
成果目標として、36協定の時間外労働時間数を月60時間以下に設定することや、病気休暇・教育訓練休暇といった特別な休暇制度を新たに導入することなどが定められています。
目標の達成度合いに応じて、最大150万円の助成が受けられるほか、賃上げを組み合わせることでさらに助成額が加算される仕組みもあります。
勤務終了から始業までの休息を確保する「勤務間インターバル導入コース」
「勤務間インターバル導入コース」は、勤務終了時刻から次の勤務の開始時刻までに、一定時間以上の休息時間を確保することに特化した支援です。
従業員の生活時間や睡眠時間を確実に保障し、過重労働による健康障害を防ぐことを目的としています。
特に、シフト制勤務や不規則な労働時間になりがちな業種において、従業員の健康管理とワーク・ライフ・バランスの実現に効果的です。
成果目標として、9時間以上または11時間以上の勤務間インターバルを就業規則に規定し、それを遵守することが求められます。
新規で導入する場合だけでなく、既に導入済みの制度の適用範囲を拡大したり、インターバル時間を延長したりする場合も助成対象となります。
設定したインターバルの時間数に応じて、最大120万円が助成されます。
建設・運送・医療など業種別の課題に対応した「業種別課題対応コース(旧:適用猶予業種等対応コース)」
「業種別課題対応コース(旧:適用猶予業種等対応コース)」は、2024年4月から時間外労働の上限規制が適用された業種特有の課題に対応するためのコースです。
- 建設業
- 運送業
- 医療機関
- 砂糖製造業
上記の業種は長時間労働が常態化しやすく、法改正への対応を円滑に進めるための支援が欠かせません。
そのため、時間外労働の削減や週休2日制の推進、勤務間インターバルの導入など、労働環境を抜本的に改善するための取り組みを支援します。
対象業種が限定されている分、助成上限額が最大250万円と比較的高額に設定されており、より踏み込んだ設備投資や制度改革が可能です。
業界団体や協会が主導して活用できる「団体推進コース」
「団体推進コース」は事業協同組合や商工会、業界団体といった「事業主団体」を対象としたユニークな支援制度です。
団体傘下にある、複数の中小企業の労働条件を改善するための事業を行う場合に助成されます。
例えば、団体が専門家を招いて研修会を実施したり、生産性向上に繋がるITツールを共同で導入したりする取り組みが対象となります。
個々の企業では難しい大規模な取り組みや、業界全体のレベルアップを図る活動を後押しすることを目的としています。
助成上限額は最大1,000万円と非常に高額で、業界全体の働き方改革をダイナミックに推進することが期待されています。
働き方改革推進支援助成金の申請の流れ
働き方改革推進支援助成金の申請は、思い立ってすぐにできるものではなく、計画的な準備と段階的な手続きが求められます。
以下5ステップで求められることや注意点を正しく理解し、スケジュールに沿って着実に進めることが、確実な受給への近道です。
1|STEP1:自社の課題整理と最適な助成コースの選定
自社の労働課題を分析し、最も適した助成コースを選ぶ最初の段階
2|STEP2:交付申請書の作成と提出に向けた社内準備
事業計画や見積書を揃え、期限内に労働局へ交付申請する準備段階
3|STEP3:交付決定後の取組実施と証拠の記録管理
交付決定後に計画を開始し、領収書など証拠書類を保管する実行段階
4|STEP4:事業完了後の支給申請と実績報告
事業完了後、成果をまとめて労働局へ報告し助成金の支払いを依頼
5|STEP5:支給決定・入金後のフォローアップと社内活用
助成金受給後の会計処理や書類保管、導入した制度の継続的な活用
STEP1:自社の課題整理と最適な助成コースの選定
最初に、自社の労働環境における課題を明確に洗い出すことから始めます。
「残業が多い部門はどこか」「有給休暇の取得率が低い原因は何か」「従業員からどのような不満の声が上がっているか」などを具体的に分析します。
その上で、課題を解決するためにどのような取り組みが必要かを検討し、最も適した助成金コースを選定します。
後の計画書作成や取り組みの成果に大きく影響するため、慎重に行う必要があります。
STEP2:交付申請書の作成と提出に向けた社内準備
受給したいコースが決まったら、次はそのコースの要件に沿って「事業実施計画」を盛り込んだ「交付申請書」を作成します。
具体的には、どのような成果目標(例:時間外労働を月60時間以下にする)を掲げ、その達成のためにいつ、どのような取り組み(例:労務管理用ソフトウェアの導入)を、いくらの費用をかけて実施するのかを詳細に記述する必要があります。
- 成果目標:時間外労働を月60時間以下にする
- 取り組み:労務管理用ソフトウェアの導入
導入する機器や依頼するコンサルタントの見積書、現行の就業規則や36協定の写しなど、多くの添付書類も必要となるため、計画的に準備を進めなければなりません。
作成した交付申請書一式は、管轄の都道府県労働局へ定められた期限内に提出します。
STEP3:交付決定後の取組実施と証拠の記録管理
提出した交付申請書が審査され、内容が適正であると認められると、労働局から「交付決定通知書」が届きます。
この通知を受け取って初めて、事業実施計画に記載した取り組みを開始することができます。
決して、交付決定前に発注や契約、支払いなどを行ってはいけません。
取り組みの実施期間中は、計画通りに事業を進めると同時に、証拠となる書類をすべて整理・保管しておくことが極めて重要です。
- 発注書
- 契約書
- 納品書
- 請求書
- 領収書
- 銀行の振込記録
また、就業規則の変更届や研修の実施報告書など、取り組み内容に応じた記録も確実に残す必要があります。
STEP4:事業完了後の支給申請と実績報告
事業実施計画に定めたすべての取り組みが完了したら、次に行うのが「支給申請」です。
支給申請書には、かかった経費の内訳を記載した書類や、支払いの証拠となる書類(領収書の写しなど)を添付します。
さらに、取り組み後の労働時間の変化を示すタイムカードや、新しく定めた就業規則など、成果目標の達成を客観的に証明する資料も求められます。
支給申請には期限(事業完了日から30日後、または年度末の指定日かいずれか早い日)が定められており、1日でも遅れると助成金は支給されません。
STEP5:支給決定・入金後のフォローアップと社内活用
支給申請書が受理されると、労働局による最終的な審査が行われます。
提出された書類に基づき、すべてが適正と判断されれば「支給決定通知書」が送付され、指定した口座に助成金が振り込まれます。
助成金を受給して終わりではなく、導入した制度や機器を継続的に活用し、働きやすい職場環境を維持・向上させていくことが重要です。
また、助成金の会計処理を適切に行い、関連書類は支給決定日から5年間保管する義務があることも忘れてはなりません。
労働局による事後の現地調査が行われる可能性もあるため、いつでも説明できるように準備しておくことが求められます。
働き方改革推進支援助成金の申請時に注意すべき5つのポイント
助成金の申請には細かなルールや厳格な期限が定められており、些細なミスが不支給という深刻な結果を招きます。
申請担当者が陥りがちな5つの落とし穴と、回避するための具体的な対策について解説します。
1|書類の不備や記入ミスがあると申請が却下されるおそれがある
申請書類の記入漏れや添付不足が不支給に繋がるリスクとその対策
2|交付申請・支給申請の期限を過ぎると助成金が受け取れないリスクがある
厳守必須の各申請期限と、遅れた場合に受給不可となる重要事項
3|計画通りに取組を実施しないと助成金が不支給になる可能性がある
申請計画と異なる事業実施が助成金不支給を招く危険性について
4|労働関係法令違反や社会保険の未納があると申請自体ができない
法令遵守や保険料納付が申請資格の大前提であることの解説
5|社労士や専門家を活用することで申請ミスや不支給リスクを回避できる
複雑な手続きのミスを減らし、確実な受給を目指す専門家活用の利点
書類の不備や記入ミスがあると申請が却下されるおそれがある
申請書類は、助成金の審査における唯一の判断材料であり、その内容は極めて重要です。
些細なミスが、申請の「受理不可」や「不支給」に直結します。
- 様式の記入漏れ・押印忘れ
- 必須の添付書類(見積書など)の不足
- 計画書と実績報告での金額の不一致
実績報告の内容に矛盾がある場合や、経費の証拠書類(領収書など)の宛名が、法人名でなく個人名になっているといったケースは厳しくチェックされます。
提出前には、必ず申請マニュアルを熟読し、チェックリストなどを用いて複数人でダブルチェックすることが、ミスを防ぐための基本です。
交付申請・支給申請の期限を過ぎると助成金が受け取れないリスクがある
助成金制度では、各手続きの期限が厳格に定められており、いかなる理由があっても期限後の申請は認められません。
「交付申請」の期限(例年11月末頃)はもちろんのこと、見落としがちなのが「支給申請」の期限です。
「事業実施期間が終了した日から起算して30日後の日」または「年度末の指定日(例年2月上旬頃)」のいずれか早い日と設定されており、非常にタイトなスケジュール管理が求められます。
事業の完了が遅れると、支給申請の準備期間がほとんどなくなる事態も起こり得るため、全体のスケジュールを逆算して計画的に進めることが不可欠です。
計画通りに取組を実施しないと助成金が不支給になる可能性がある
助成金は交付申請時に提出し、審査・承認された「事業実施計画」に基づいて取り組みを行うことが大前提です。
計画にない機器を購入したり、予定していた研修を実施しなかったりした場合、助成の対象外となるか、最悪の場合、助成金全体が不支給となる可能性があります。
やむを得ない事情で計画を変更する必要が生じた場合は、速やかに労働局に連絡し、「計画変更届」を提出して承認を得なければなりません。
自己判断で計画と異なる事業を進めることは、最も避けるべきリスクの一つです。
また、最終的に掲げた成果目標が達成できなかった場合も、原則として助成金は支給されません。
労働関係法令違反や社会保険の未納があると申請自体ができない
助成金は法令を遵守している健全な企業活動を支援するものです。
したがって、最低賃金を下回る賃金の支払いや、割増賃金の未払いといった労働基準法違反がある場合、申請資格が認められません。
また、労働保険料だけでなく、健康保険や厚生年金保険といった社会保険料の滞納がある場合も同様に、申請が受理されません。
申請を検討する前に、まずは自社の労務管理体制や保険料の納付状況を再点検し、クリーンな状態にしておくことがすべての基本となります。
審査の過程でこれらの問題が発覚すると、それまでの努力が水泡に帰すことになりかねません。
社労士や専門家を活用することで申請ミスや不支給リスクを回避できる
社内のリソースだけで対応すると、担当者の負担が過大になるだけでなく、知識不足からくるミスや見落としで不支給となるリスクが高まります。
そこで有効なのが、助成金申請を専門とする社会保険労務士(社労士)や、コンサルタントといった外部の専門家を活用することです。
専門家は最新の法令や要綱の変更点を熟知しており、事業計画の策定から書類作成、労働局との折衝までを的確にサポートしてくれます。
一定の報酬は発生しますが、不支給リスクを大幅に低減し、担当者の負担を軽減できます。
働き方改革推進支援助成金に関するよくある質問
助成金の申請を検討する中で、多くの企業が共通の疑問を抱きます。
問い合わせの多い質問をピックアップし、それぞれ具体的かつ分かりやすく回答します。
1|個人事業主でも働き方改革推進支援助成金を申請できますか?
労働保険加入など条件を満たした場合の個人事業主の申請可否について
2|働き方改革推進支援助成金は令和6年度(2024年)と令和7年度(2025年)でどう変わりましたか?
2025年度のコース名称変更や対象業種拡大、賃上げ加算強化の解説
3|働き方改革推進支援助成金の申請期限はいつからいつまでですか?
交付申請や支給申請の一般的なスケジュールと早期終了リスクの注意喚起
4|働き方改革推進支援助成金では業務用の車両購入も助成対象になりますか?
原則対象外だが、生産性向上に資する専用車両の例外的な扱いの説明
5|歯科医院も働き方改革推進支援助成金の対象になりますか?
業種別課題対応コースの対象となる歯科医院の助成金活用方法について
6|働き方改革推進支援助成金の申請マニュアルはどこで入手できますか?
厚生労働省の公式サイトから最新の要綱や申請様式を入手する方法
7|働き方改革推進支援助成金についての問い合わせ先はどこですか?
各都道府県労働局の担当部署が公式な相談窓口であることの案内
8|働き方改革推進支援助成金の全体スケジュールを教えてください。
申請準備から事業実施、受給までの一年を通した大まかな流れの解説
個人事業主でも働き方改革推進支援助成金を申請できますか?
はい、申請できます。
働き方改革推進支援助成金の対象は「中小企業事業主」であり、法人だけでなく個人事業主も含まれます。
ただし、いくつかの条件を満たす必要があります。
労働者を1人以上雇用し、労働保険(労災保険・雇用保険)の適用事業主であることが絶対条件です。
その上で、業種ごとに定められた「常時使用する労働者の数」の基準を満たしていれば、個人事業主であっても法人と同様に申請し、助成を受けることが可能です。
働き方改革推進支援助成金は令和6年度(2024年)と令和7年度(2025年)でどう変わりましたか?
令和7年度の働き方改革推進支援助成金では、いくつかの重要な変更点が見られます。
特に大きな変更は「適用猶予業種等対応コース」の名称が「業種別課題対応コース」へと変更され、対象業種が拡大された点です。
従来の建設・運輸・医療・砂糖製造業に加え、2025年度からは情報通信業や宿泊業なども対象に含まれる見込みです。
また、賃上げを行った場合の加算措置が強化され、新たに7%以上の賃上げを行った場合に、より高額な助成額が加算される予定です。
これにより、賃上げと労働環境改善を同時に進める企業への支援がより手厚くなっています。
働き方改革推進支援助成金の申請期限はいつからいつまでですか?
申請期限は年度によって若干変動しますが、「交付申請」(事業計画の提出)の受付期間は、例年4月1日から始まり、11月末日が締切となります。
事業を実施した後の「支給申請」(実績報告の提出)の期限は、「事業実施期間の終了日から30日後」または「翌年2月上旬頃」のいずれか早い日となります。
本助成金は国の予算に基づいて運用されるため、申請額が予算の上限に達した場合は、11月末日の期限を待たずに受付が終了されることがあります。
申請を検討している場合は早期に準備を進め、早めに提出しましょう。
働き方改革推進支援助成金では業務用の車両購入も助成対象になりますか?
原則として、汎用性が高く、他の目的にも容易に転用できるものの購入費用は助成対象外となります。
そのため、一般的な乗用車やトラック、バンといった車両の購入は対象になりません。
例外として、車両が「労働能率の増進に資する設備」として明確に認められる場合は、対象となる可能性があります。
最終的な判断は労働局が行うため、車両購入を検討しているのであれば、事前に管轄の労働局に相談しましょう。
歯科医院も働き方改革推進支援助成金の対象になりますか?
はい、対象となります。
歯科医院を含む病院や診療所などの医療機関は、働き方改革推進支援助成金の対象となる「中小企業事業主」に含まれます。
特に、2024年4月から医師の時間外労働上限規制が適用されたことを受け、「業種別課題対応コース」の重点支援対象となっています。
このコースを活用すれば、幅広い取り組みに対して助成を受けることが可能です。
- 勤怠管理システムの導入による労働時間の正確な把握
- 予約管理システムの導入による業務効率化と待ち時間短縮
- スタッフの労働時間を短縮するための最新医療機器の導入
歯科医師だけでなく、歯科衛生士や受付スタッフなど、医院で働くすべての従業員の労働環境改善に役立てることができます。
働き方改革推進支援助成金の申請マニュアルはどこで入手できますか?
働き方改革推進支援助成金の申請に必要な各種資料は、すべて厚生労働省の公式ウェブサイトから入手できます。
具体的には、厚生労働省のウェブサイト内にある「働き方改革推進支援助成金」のページに、各コースごとの「交付要綱」「支給要領」「申請マニュアル」がPDF形式で公開されています。
また、交付申請書や事業実施計画書といった申請様式も、WordやExcel形式でダウンロードできます。
資料は年度ごとに更新されるため、申請を行う年度の最新版を確認してください。
働き方改革推進支援助成金についての問い合わせ先はどこですか?
働き方改革推進支援助成金に関する公式な問い合わせや、申請書類の提出は、企業の所在地を管轄する「都道府県労働局」が窓口となります。
具体的には、各都道府県労働局に設置されている「雇用環境・均等部(室)」が担当部署です。
自社の取り組みが助成対象になるかどうかの相談や、申請書類の書き方で不明な点がある場合は、窓口に電話または直接訪問して相談できます。
働き方改革推進支援助成金の全体スケジュールを教えてください。
働き方改革推進支援助成金の全体スケジュールは、大きく分けて「申請準備」「事業実施」「申請・受給」の3つのフェーズで構成されます。
年度が始まる4月頃から交付申請の締切である11月末日に向けて、課題整理、コース選定、事業計画策定、見積取得、申請書類作成といった「申請準備」を行います。
交付申請後、労働局から交付決定通知を受け取った日(概ね申請から1〜2ヶ月後)から、「事業実施」を開始し、これを翌年1月末日までに完了させます。
事業完了後、速やかに「支給申請」を行い、審査を経て、問題がなければ年度末から翌年度初頭にかけて助成金が受給される、というのが一般的な流れです。
計画的に進めないと各期限に間に合わなくなるため、年間のタスクとして管理することが重要です。
まとめ
本記事では、2025年度(令和7年度)の最新情報に基づき、「働き方改革推進支援助成金」の全体像を徹底的に解説しました。
働き方改革推進支援助成金は、単なる資金援助ではなく、企業の生産性向上と従業員のワーク・ライフ・バランス実現を両立させるための強力な起爆剤です。
本記事で示したポイントを押さえ、必要に応じて専門家の力も借りながら計画的に進めることで、メリットを最大限に享受できます。
ぜひこの機会に助成金の活用を本格的に検討し、持続可能な企業成長と、従業員が誇りを持って働ける魅力的な職場環境の構築へと繋げてください。